国内の雪崩死亡事故

日本国内では、最近30年間(1991-2020)で179件の雪崩死亡事故が発生し、274名が死亡しています(図1-1)。これは年平均で6件の雪崩死亡事故が発生し、9名が亡くなることになります。

顕著な暖冬のシーズンに死者数が少なくなる傾向がありますが、豪雪と死者数は必ずしも相関していません。死亡事故の発生期間は主に12月から5月ですが、件数と死者数は2月が最も多くなります。なお、12月はクリスマス以降、5月はGW期間に集中しており、これはレクリエーション活動での死亡事故が多いことに起因しています。一方、それ以外の月では、明らかな特徴はありません。

雪崩死者を「レクリエーション」「業務」「その他」の3つのカテゴリに整理しますと、発生件数の75%、死者数の74%をレクリエーションが占めています。
「レクリエーション」は、登山、山岳滑走者*、スキー場内滑走者、スノーシュー、スノーモービル、渓流釣りなど、雪山で余暇を楽しむカテゴリです。「業務」は施設管理(道路除雪や工事、発電所など)、林業や狩猟業、宿泊業(温泉宿や山小屋)、冬季アウトドア業(スキーパトロールやガイド)、教育業、公務(山岳救助隊)などのカテゴリになります。「その他」は住民などです。

*所謂、バックカントリースキーあるいはスノーボードについては、その滑走域がスキー場ではない「山岳フィールド」なので、旧来の山スキーや山スノーボードと同じ活動です。


図 1-1 雪崩に因る死者数の推移(1991–2020)